何にもないことが魅力になる。
それを村上春樹の本を通して、証明されたので、ありのままでいい、自分には何にもない。そのままでいいという話にこじつけて書こうと思います。
大好きラオス。感慨深いラオス。
ラオスにいったい何があったと思いますか?それを考えてみました。
村上春樹の紀行文集、「ラオスにいったい何があるというのですか?」を読みましたので感想というかラオスについて書きたいと思います!!
この本には、10カ国の旅の記録が書かれていますが、今回はその中でも私も大好きで、表題に抜擢されたラオスに焦点を絞ります!
本書のあらすじ
村上春樹が20年くらいの間にいろいろな雑誌などに載せるために書いた10個の旅行記で、それのロングバージョンらしいです。私はどの雑誌も読んだことがないので本書を読む価値はありましたが、雑誌向けだった為か、面白おかしい旅行記というよりは淡々と、食事の紹介や歴史の紹介と言った部分が多かったです。
ただ、今までの旅行記よりも村上春樹が写っている写真が多かった気がします。また、たまに「です、ます」口調になるのが、村上春樹の小説ファンとしては新鮮でした。小説ではほとんど「です、ます」は使われていないので、急に「村上春樹」をそこに感じました。
掲載雑誌:『太陽』、『TITLE』、『CREA』、『AGORA』
目次/国
- ボストン
- アイスランド
- オレゴン州ポートランド
- メイン州ポートランド
- ミコノス島/スペッツェス島
- ニューヨークのジャズクラブ
- フィンランド
- ルアンプラバン(ラオス)
- トスカナ(イタリア)
- 熊本県
感想まとめ
いきなりまとめ!!
ラオスにいったい何があるのか?村上春樹さんはそんな事を私(誰か)に問いかけているわけでもラオスに何があるのか答えがあるわけでも、もちろんありませんでした。
何もないからこそ、ラオスにしかないものがあるそれがラオス。
ということを語られている本でした。
ヴェトナムにはない何かがラオスにあるのか?
ワクワクしてラオスのページまでたどり着くと、しょっぱなから心をつかまれる。
それはタイトルの意味にこんなことがあったのかということと、このセリフを言った人の気持ちがわかるからだ。
それは、
村上春樹がラオスに向かってヴェトナムで飛行機を乗り継ぐことになったときのこと。
そのときヴェトナムの人に「どうしてまたラオスなんかに行くんですか?」と不審そうな顔で質問された。その言外には「ヴェトナムにない、いったい何がラオスにあるというんですか?」というニュアンスが読み取れた。
実は私も、タイからラオスに行く際に、「ラオスに何があるの?何しに行くの?」とタイの人に言われた。
「何があるかわからないから行く」と、かっこいいセリフなんて浮かびもせず、笑ってごまかした思い出がある。
確かに、タイやヴェトナムには写真にも映りそうなほどの濃い空気が流れている。ヴェトナムには行ったことがないけれど、行ったことがなくてもヴェトナムには何かがあることはわかる。それくらい何かがある。
他にも、海があるフィリピン
東南アジアを詰め込んだような賑やかでいろいろな顔のあるタイ
アンコールワットのカンボジア
しかし、ラオスには行ったにも関わらず、何があるのかわからない。そんなところだった。
そしてとても好きだ。
村上春樹のラオス旅行記
村上春樹はラオスでとても高級なホテルに泊まっておいしい食事を食べて、なんかその辺の人かと思ったらめちゃめちゃすごい音楽人の演奏を聞けた、というお話でした。
そして、村上春樹がどうラオスを表現するのかが気になって読んだのですが、村上さんでさえ「ラオスには何もないけどラオスにしかないものがある」と書かれておりました。
村上春樹語でラオスを
ラオスと一言で言っても本書ではルアンプラバン(ルアンパバーン)という街についてのみ語られています。そして、村上春樹がどんな風に本書でラオスを表現しているかというと…
玄関がやたら大きくて立派で、部屋数が少ない家にに似ている
居間を通り抜けて、その奥のドアを開けたらもう裏庭だった、みたいな。
というもので、その前にこんな説明があります。
メコン川沿いにある、かなりこぢんまりとした街だ。街そのものより、街外れにある飛行場の方がたぶん大きいだろう。
ということ。
それについて私の感想
私は飛行機でルアンプラバンには行かずにスローボートという船で二日間かけてメコン川を渡ってきました。
なので、”玄関が広くて”という部分は感じていませんでしたが、これを読んで、はっとしました。
なるほど!!と。
なぜかというと、
ルアンプラバンは観光の拠点となる街でラオスの中でも有名な扱いでした。
そして、街全体が世界遺産に登録されているのです。
なので、周辺の地域を凌駕するほどの町並みを期待しますよね。大きな玄関を。
しかし、行ってみると、なんというか、静かな町があるだけ。
なのに、なんか心の奥がほっこりして、だけど、うずうずする感じがする。
ルアンプラバンの雰囲気
田舎町でもないし、都会でもない。
周辺の町のように客引きがうようよいるわけでもないのに観光客向けとナイトバザールもあるし、屋台街もある。不便でもない。
ヨーロッパ調の町並みや、碁盤目状の道が広々とあり、ショッピングモールのようなお店もある。なのに、町工場のようなお店もあれば、気がついたら裏道の町を出る?道にたどり着く。
どこも派手じゃないし、どこも何も主張していない。
観光客が変に目立ったり、町の人が熱く商売をしていそうな雰囲気もない。
ただただ、そこに町があり、人が来て、勝手に出て行く。
観光客含め自然な流れで空気が流れている。
なのに、あの路地には何が待ち受けているだろうか?なんてひたすら狭い町を歩き回ってしまう。
この町で何かが待ち受けていたことなんかないのに。
観光客も人も沢山いるのになぜか静かで落ち着きのある町だった。
そんなラオス、ルアンプラバン。
ラオスの人々
ひっそりとにこやかに、落ち着いた声のトーンで、だけど、外国人を拒絶している感じもなく、知らない人を知らない人と受け入れて流している人々。
日本のように時間外に思わずやっちゃった営業スマイルみたいな笑顔でもなく人がいるからと笑いたくもないのにわらっている何てこともなさそう。
私は微笑みの国タイより微笑んでいるように感じた。
ラオスにいったい何があるというのですか?まとめ
この本は、ラオスの旅行記だと思っていたのですが、10箇所の地域の旅行記だったと書きました。
その中で、タイトルに抜擢された何も無いラオス!
何も無いのに、ラオスにしか無い何かがある!
それは私だけが感じていたことでは無いというのが今回わかりました。
そう、村上春樹でさえ、
ラオスには何もないが、ラオスにしかないものがある!
と言っている。
そんな本でした。
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